今日も今日とて、某スーパーの特売日に姿を現す美形集団。



 彼等が荷物持ちの任務を授かった日は、隊長石田の指示の元整然と任務を実行する褒賞に、隊員達は隊長の手料理に与れるという栄誉がある。
 が、実際は、在り合わせの材料でメンバー全員による創作料理会と化すことも少なくない。
 その様子を偶然目にしてしまった某兄弟の母は、後日行われた保護者会にてこっそりと涙したという…。




「さーて、今日の買い物はこれで終わりよね?」
「ああ…と、悪い!一つ買い忘れた」
「何だ?オレが行って来ーか?」

 分散化した荷物のおかげで、比較的身軽な太一が振り返る。
 ヤマトは隊長だけあって、流石に他の者より持ち分が多かった。

「悪い。ファブ○ーズが切れてんだ。詰め替え用を買って来てくれ」
「…ファブ○ーズ…」
「ああ。最近親父が仕事関係でちょっとイラついててさ、たばこの量が多いんだよ。部屋ん中臭くなりすぎても困るし…ほい、財布」

 鞄の中からごそごそと取り出された財布を、太一は複雑な表情で受け取る。

「香りつきじゃ無いやつな?緑色のを頼む」
「…ああ、分かった」

 何処か精彩の無い背中で売り場に向かった太一を見送り、他の者達はこっそりと頷き合う。

「…主婦だ」
「主婦ね…」
「ええ、主婦です…」



 普段思っていることを、改めて再確認した出来事だった…。





 
おわり