カップリング賢×太一です。




















 




 今でも夢に魘されることがある。



 小さく、愚かで、何処までも子供でしかなかった自分。
 命あるものが傷つき、逃げ惑う様を笑って喜ぶ…そんなことが出来た自分。
 許してほしいだなんて、そんな言葉は言えなくて、ただ謝罪し祈ることしか出来ない…今の自分。

 あれから僕は、少しは成長したのだろうか。
 変わることが出来たのだろうか。

 体だけで無く、心も大きくなれたのだろうか…自分はまだ、未だに見る夢に押し潰されてしまいそうだと言うのに…。

「……賢?…起きたのか?」

 優しい声が耳を擽る。
 この声が、いつでも僕を現実へと引き戻してくれる。

「…太一、さん…。僕また…」
「魘されてたな。…シャワー浴びるか?」

 成人した節の目立つ男の手が、信じられないほど優しく前髪をかき分ける。

 優しく。
 慰めるように。
 愛おしそうに…。

 その手を掴んで引き寄せて、腕の中に閉じ込めた。

「……っ、賢?」

 一瞬驚いて身を固くしたが、直ぐに力を抜いて体を預け、不思議そうに柔らかな瞳が見つめてくる。
 拒否されないことに安堵して、どうしようもなく弱い自分を曝け出す。

 こんな自分は嫌なのに。
 見られたくなど無いと思っているのに…。

 それなのに、同時にひどく嬉しがっている自分も感じる。

 見放されていないことに。
 包み込まれている心の温もりに…。

 何て自分勝手で、我侭な、子供のままの卑小な自分。
 こんなに罪深い僕なのに…。

「あなたの傍で、生きていたい…!」

 なんて図々しい願い。
 こんなにも罪深く強欲な人間を、僕は自分の他に知らない。

 誰もが憧れ、想いを寄せる彼を、情け無い姿で繋ぎ止める人間を…。

 けれどもう、僕はあなたの傍でなくては生きていけない。
 あなたの傍でなくては、息すら出来ない。

 それを受け入れ、罪すらも半分寄越せと言って笑うあなたの優しさにつけこんで…。

「ああ…一緒に生きていこうな」

 嬉しそうに言ってくれるあなたの言葉に。
 自分自身が情けなく、悔しくて…涙すらも出なかった。





 
おわり

           …はい。お題第一弾は賢太でしたv
           なんだろう…最近熱烈なラヴコールのせいで
           賢太に染まってきたのかな…私の頭(苦笑)
           その割には暗くて、賢ちゃん一人グルグルして
           ますが、それはご愛嬌(?)ということで(笑)



風が微笑んだ場所