最近なんか、アスキラ書けとよく言われるので書いてみた(苦笑)















 







「それではキラ、そろそろ参りましょうかv」
「そうだね、ラクス」

 にっこり微笑み合う元婚約者と現恋人の姿を、アスランは複雑な思いで見つめる。

 本来なら、今日の外出は三人の予定だった…それなのに、どうしても外せない用事が自分に出来てしまい、平謝りでキラに許しを請い、今日の予定を変更することになったのだ。

 中々休みの無いアスランと一緒に出かけられるこの日を、キラはとても楽しみにしていた。
 ラクスとも電話で何度も予定を確認し合っていたのも知っている。
 何を隠そう、自分の直ぐ傍でされていたやりとりなのだから…。
 だからこそ、この日のキラの予定に、一方的に破棄にした形のアスランが何か意見を言う資格は無い。
 それは分かっている。

 しかし、キラとラクスが二人で出かけるっていうのは…ちょっと違わないか!?…と思ってしまうのだ。

 そもそも、自分が行けなくなった時点で、アスランは『キラが今日出かける』という選択肢自体が無くなったと思っていた。
 もちろん、キラとラクスがこの日『一緒にいる』ということも有り得なかったし、自分抜きで話が進むなど考えられないことだった。

 それなのに実際は、アスランが行けなくなったという事実をキラが受け入れたその場から『じゃあ、ラクスと二人で行こっか♪』という話でまとまっていたらしいのだ。

 信じ難いことに…!

 そもそも、大体にして、自分達が出かける時に、かなりの割合でラクスも一緒だというのは、根本的におかしくないか!?…とやっとのことで思い当たる。
 自分が仕事で忙しく外にいる間、もしかしたら自分といるよりも長い間ラクスといるかもしれないことにもこの時気づいた。

 そういえば、ハロの修理やら色んな理由はあれど、自分達の話題にはラクスの名が上がることが多い。
 コンサートでは、五分で寝てしまう自信のある自分と違い、歌や音楽が好きなキラは、時間の関係もあって、自分よりも頻繁に、いや、もしかしたら欠かさず彼女のコンサートに行っているような気がする。
 自分が甘い物を苦手にしていることを知っているキラに薦められたことは無いが、スイーツ大好きのキラが、よく幸せそうに抱え込んで食べているのを、出不精のキラも自分の欲望には負けたのかと微笑ましく思っていたあれは、クライン家のアリスさん自慢の手作りケーキなんじゃ…。

 …等、苦悩するアスランの心情など露ほども気にせず、二人は晴れ晴れとした表情でこれからの予定を楽しそうに語り合っている。
 そんな様子に、更にアスランの目が恨みがましくなっていくのだが、はっきり言って二人には関係無い。
 約束を反故したアスランが悪い。
 二ヶ月も前から決めていた予定を遂行出来ないような甲斐性の無いヘタレを労わってやるような、無駄に広すぎる心は持ち合わせていない…当然の成り行きである。

 そんな風に、あまり自分の立場を分かっていないアスランが、無謀にも嫌味と牽制を込めて呟いた。

「…キラの体調は万全では無いのですから、あまり振り回さないで下さいね、ラクス」
「あら、アスランじゃあるまいし。予定通りの出発ですもの、ご心配には及びませんわv誰かさんの予定は変わっているようですけれど」
「ぐっ…」

 にっこり笑顔で倍にして返され、思わず言葉に詰まる。
 ちらりとキラを見れば、いつも通り穏やかな笑みを浮かべて元婚約者同士の会話を聞いている。
 それに更にアスランの不安が増長された。

 キラはぽややんなんだ!自分が守らなくては…!

 決意を握り拳に込めて顔をばっと上げると、いつの間にか来ていた迎えの車に二人が乗り込んだところだった。

「キ、キラっ!」
「じゃあ、アスラン。僕達行って来るから、アスランは仕事がんばってね♪」
「行って参ります、アスランv」

 バタン、と無情に閉まったドア。
 音も無く開いた窓からにこやかに手を振る二人…思わず本音を吐露して手を伸ばすアスラン。

「ラクス!キラを襲わないで下さいよっ!?」
「まあ。キラはお飲み物に催淫剤を入れても直ぐに気づいて飲んで下さいませんもの。襲いようがありませんわv」
「大丈夫!慣れてるから!」
「はあっ!?」

 伸ばした手がスカッと空を切り、アスランの疑問に答えぬまま二人を乗せた車が瞬く間に遠ざかる。


 今、今、今…なんて…!?




「キラ―――――っっっ!!!??キラキラキラキラキラキラ――――――――――っっっ!!!??」





 アスランは、ご近所からの騒音が煩いとの通報で警備員が駆けつけるまで、一人その場で騒いでいた。





 
ちゃんちゃん♪