地球軍にもザフトにも属さず、第三勢力として宇宙に上がって数日…プラントより行きがけの駄賃代わりと言うようにかっぱらって来たエターナルと心ある有志達と合流して更に数日、そのエターナルに移ってからも当然のように地球軍の軍服を着ているキラに、通信での会議をしていたカガリが我慢できずに問い詰めた。

 何故まだ地球軍の服を着ているのか。
 クサナギにはオーブの服もあるし、エターナルにはザフトの服もある。
 なのにわざわざAAに取りに来てまで、何故…と。

 気になったら即実行を旨とする彼女としては、随分辛抱強く耐えた方である。



「え?だって、これなら汚れても構わないし」



「「「『『『………………』』』」」」



 きょとん…と応えたキラに、全ての艦のブリッジ要員達が固まる。

 初めは、カガリは何を言い出すんだと呆れて聞いている者もいた。
 今言い出すことか?と不審さを隠さなかった者もいた。
 実は同じように気になっていたけど聞き出せず、深い意味があるように思えてしまって口をつぐんでいた少数の者達だけは賞賛の視線を送っていた。

 しかし、それ以上にキラの答えに色んな意味で驚いた。



―――― あの〜……微妙に深読みしたくなる言い回しなんですが…



「これならたくさんあるし、着慣れてるし、愛着も無いし」


 ね?と愛らしく小首を傾げる姿に、特に最後に付け加えられた言葉を気にしつつも、群集はただ沈黙を返すのみだった。





 望まぬ戦いに巻き込まれた中、大きく成長し過ぎた少年の姿に涙を堪えながら…。






 
おわり